脳血管内治療センター

 脳血管内治療とは、頭蓋内、頭頸部の病変に対してカテーテルを用いて治療する手術であり、病変部を直接切開することがないことから、非常に低侵襲な治療法です。

 1997年脳動脈瘤に対するコイル塞栓術が保険収載されて以来、私はこの分野に従事しており、脳動脈瘤1300例以上、血栓回収療法、頸動脈ステントは各々500例以上など2500例以上の脳血管内治療に携わってまいりました。この分野は、年々目覚ましい技術革新がなされている領域ですが、当院でも最新の脳血管撮影装置(Philips社Azurion7 B20/15)を導入し、脳動脈瘤や、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻などに対するコイルや液体塞栓物質、頸動脈高度狭窄に対するステント留置術のみならず、大型脳動脈瘤に対するフローダイバーター治療などが可能となりました。コイル塞栓術では再発が起こりやすいとされる頸部の広い終末部動脈瘤に対しては、瘤内留置型のメッシュ構造の自己拡張型インプラントの治療が保険収載されましたが、当院でも近日中に実施可能となる予定です。

 脳神経外科スタッフとも緊密な連携をとりながら、経験と技術に基づいた安全な治療を心がけてまいりますので、脳血管疾患を発見された際は、当院「脳血管内治療外来」への受診を是非お勧めください。

2024年7月

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センター長 黒岩 輝壮

 

救急隊、医療機関の方へ

 当院では、脳梗塞発症急性期の患者さまに対して、tPA静注療法と血栓回収療法が施行可能です。tPA静注療法は発症から4.5時間以内、血栓回収療法は発症から24時間以内の脳梗塞の患者さまが対象で、一定の条件を満たせば施行可能となります。

 血栓回収療法は、内頸動脈や、中大脳動脈、脳底動脈など脳主幹動脈の急性閉塞が原因の重症脳梗塞がその対象となりますが、これらの患者さまは、重症の半身麻痺、重症の言語障害(発語なし、言語理解困難など)、眼球の偏位(一方を向きっぱなしになる)を呈することが多く、心電図で心房細動を認めれば、その対象となる可能性が大きくなります。

 脳主幹動脈急性閉塞の患者さまは、tPA静注療法単独では予後不良の場合が多いことから、救急搬入からいかに短時間で、血栓回収療法を行い、血流を再開させるかが重要となります。当センターでは、救急部、脳神経外科の緊密な連携のもと、積極的に血栓回収療法を行なっていますので、このような患者さまがおられましたら、当科までご相談ください。

対象疾患
  • 脳動脈瘤
  • 脳主幹動脈急性閉塞
  • 頸動脈狭窄症
  • 硬膜動静脈瘻
  • 脳動静脈奇形 など
血管造影検査装置

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2021年4月導入/Philips社 Azurion7 B20/15

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