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今回は尿管結石の理解を深める2つの論文を読んでみました。
1つめの論文です
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Resolution of Hydronephrosis and Pain to Predict Stone Passage for Patients With Acute Renal Colic. PMID: 34627871
【研究目的】
尿路結石症においてフォローアップCTで水腎の消失が結石通過を予測できるか明らかにする
【分かっていること】
患者が報告する結石通過や症状消失は、尿路結石が排石した正確な指標ではない
救急外来を受診した患者の約10%が初診から30日以内に再来院している。
こうした再診患者に関する明確なガイドラインはない。
【分かっていないこと】
水腎症の消失が結石の通過を予測できるか。
【新たに分かったこと】
・フォローアップCTで水腎症が認められなかったことは、結石通過と有意に関連しており(RR 4.6、95%CI 1.9、11.0、P <0.01)、感度は98%(173/177)、特異度は40%(17/43)であった。
・痛みの消失だけを頼りにした場合、結石が残存している患者の84%が見逃されることになる。水腎症の有無のみに依存して持続性結石を検出した場合、60%の持続性結石患者が見逃されることになる。痛みと水腎症の両方が無くても、持続性結石の53%が見逃されることになる。
・水腎症のある全患者のうち、81%(17/21)に持続結石があった。水腎症がない患者では、13%(26/199)に持続結石が認められた。
5mm未満の結石は93%が排出、5mm以上の結石は71%が排出された。
【今後の診療をどう変えるか】
結石の大きさで通過率が変わるので、目安として5mm以下の場合は疼痛の消失や水腎症の消失で評価しても良いかもしれない。また、5mm以上の場合は疼痛および水腎症の消失の場合でも結石が残存している患者の約半数が見逃されているので、必要に応じて腹部CTを施行するのがよいかもしれない。
【仲榮眞先生発表】
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つまり、痛み&水腎があれば、石が残存している可能性が高いですが
無痛&水腎無しでも、落石しているとは言えないということです
この仮説であればフォローアップのエコーで水腎の消失は必ずしも排石を意味しないということが言えます。
<メッセージ>
疼痛が消失は必ずしも落石の指標にならない。
水腎の消失も必ずしも落石の指標にならない。
2つめの論文です
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Removal of Small, Asymptomatic Kidney Stones and Incidence of Relapse
N Engl J Med. 2022 Aug 11;387(6):506-513. PMID:35947709
【分かっていること】
旧来の非内視鏡技術を用いた研究では、小さな無症候性腎結石は経過観察が支持されている
【分かっていないこと】
【分かっていないこと】
大きさが6mm以下の無症候性腎結石に対する内視鏡的除去の利点は不明である
【研究課題】
尿管結石もしくは対側の腎結石を内視鏡的に摘出する際に、残った小さな無症候性腎結石も合わせて摘出することが、再発に対して効果的であるかについて検討した。
【方法】
研究開始前90日以内に1つ以上の無症候性腎結石を認め、原発性結石の内視鏡外科治療(尿管鏡or経皮的腎結石除去術)を受ける予定の患者75人を対象とし、無症候性腎結石の治療群(39人)対照群(36人)と割り付け、5年間の経過を追うこととした。
■主要評価項目:各群における再発=追跡期間中(術後2週〜5年)に試験側に結石が発生したために①救急外来受診②試験側の結石除去術③CTにて結石増大の3つの尺度で定義
■副次的評価項目:治療群における結石の治療に要した手術時間、手術・ステント・結石に関連した術後2週以内の救急外来受診、患者報告による結石通過、新たな結石の増大
【結果】
・各群における再発①+②+③
再発までの平均期間:治療群(1631.6±72.8日)vs 対照群(934.2±121.8日)
再発数:治療群 38例中6例(16%)vs 対照群 35例中22例(63%)
対照群と比較した治療群における再発のハザード比:0.18(95%信頼区間[CI]、0.07〜0.44)
・各群における再発①+②
再発までの平均期間:治療群(1717.1±51.7日)vs 対照群(1262.8±117.7日)
再発数:治療群 38例中4例(11%)vs 対照群 35例中15例(43%)
・手術時間
治療群の追加された時間の中央値:25.6分(四分位範囲18.5〜35.2)
総手術時間の中央値:治療群 93.6分(四分位範囲79〜107)vs 対照群 59.8分(四分位範囲46〜78)
・術後2週間以内の救急外来受診、患者報告による結石通過、新たな結石の増大に関しては両群間で有意な差はなかった
【まとめ】
白人主体の研究ではあったが、尿管結石もしくは対側の腎結石を内視鏡的に摘出する際に、残った小さな無症候性腎結石も合わせて摘出することで手術時間の延長はあるものの、救急外来受診やその後の手術、結石の増大も少ないことが示された。
【埜口先生発表】
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1つ目の石が治療適応に迷う場合に、2つ目の結石があれば、泌尿器科コンサルトをより積極的に考えるべきであるという意見がでました。
さて、(ちょっと表現は悪いですが)その場をしのぐだけなら尿管結石は超音波検査のみで泌尿器科も症状継続のみ受診という対応でも、ものすごく悪いわけではありません。しかし長期的にみれば、CTでFast stone±Second stoneを評価し積極的に泌尿器科へつなげることが、予後予測や再発防止に役立ちます。
みなさんのはどう考えますか?