施設概要

研究室(ラボ)は病院本館1階から7階へ移動となり、スペースも従来の67平方メートルから300平方メートルと拡張された。将来のスタッフの増加や研究テーマの変更にも柔軟に対応できるよう、最新式のコンセプトとデザインによる安全かつ作業効率の良い研究空間へとリニューアルされ、2015年7月に機器の移設・設置を終え、快適に研究活動が進められるようになった。

 

facilities_img.png

細菌室・滅菌室
facilities_img01.jpg 滅菌用、ならびに廃棄用オートクレーブ、乾熱滅菌装置、ドラフトが設置されている。また、大腸菌培養設備も備わっており、遺伝子組み換え実験(P-2実験)への対応も可能である。
遺伝子解析室
facilities_img02.jpg サンプルの前処理、次世代シーケンサやデジタルPCRなど作業内容に特化して3部屋に区分されている。これらはコンタミネーションを防ぐため、独立空調によって管理された清潔区域である(クラス10,000)。前室において、サンプルのqualitycheckを行い(核酸の濃度測定やBioanalyzer解析)、PCRワークステーション内で試料を調整する。その後に、各解析エリアに調整済みの試料を搬入し、一連の解析が行われる。
遺伝子解析の主要設備
  • 次世代シーケンサ:GeneStudioS5(Thermo Fisher Scientific社製)多数の遺伝子を同時並列解析する能力を有し、例えばがん組織を遺伝子にどのような変化が生じているかにより層別化する研究等に用いられている。また、細菌叢の分析を行うための系も導入されている。
  • デジタルPCR:QX200DropletDigitalPCRシステム(Bio-Rad社製)細菌やウィルスの測定等に用いられるリアルタイムPCR(第二世代PCR)の千倍以上の精度をもつ当センターの主力解析機器である。血液中にわずかに存在するがん遺伝子を検出する研究に用いられている。その実用化により侵襲を伴わないがんの早期診断が可能となり、次世代健診システムへの応用も期待される。
中央実験室
図1.jpg 各区域へアクセス可能な多目的エリア。血液や組織等の研究試料を一次処理し、分析に必要な核酸やタンパクへと精製・定量するエリアである。臨床検体の一次処理のための専用クリーンベンチの他、高速大容量遠心機、卓上遠心機等が設置されている。また、フローサイトメトリー、プレートリーダー、高感度ルミノグラフなど、検査部との共用機器も設置され、院内検査業務の一環も担うエリアとなっている。
データ管理室
facilities_img04.jpg 厳重な入室制限のもと、貴重な研究資料(診療情報を含む)、研究データの保管・管理を行うための十分なスペースが設けられている。また、ミーティングルームとしての利用もできるよう、落ち着いた空間となっている。ガラス越しに実験室全体が見渡せるオープンな設計とした。
顕微鏡室
facilities_img05.jpg 共通点レーザー顕微鏡(Zeiss社製)をはじめとする高精度な顕微鏡を設置している。病理組織像の解析から、組織・細胞サンプルの分子レベルでの発現解析にいたるまで多彩なイメージングの取得が可能である。
組織培養室
facilities_img07.jpg CO2インキュベータおよびマルチガスインキュベータ、安全キャビネットのほか、倒立顕微鏡、磁気ビーズによる細胞分離装置(AutoMACSPro;MiltenyiBiotec社製)をはじめ初代培養や細胞分析に必要な機材が揃っている。
サンプル保管室
図2.jpg 4°Cから-150°Cまでの各種冷蔵庫・冷凍庫、液体窒素タンクが配置されており、多数の臨床検体のストックが可能である。サンプルはQRコード等により匿名化され、セキュリティー管理の施された専用端末を設け個人情報の漏洩防止に努めている。

 

​​